KOBE SOCIAL CAMPUS

レポート

【イベントレポート】Talking “Social Career” ~生き方を考える~ Produced by 関西学院大学 山本隆ゼミ編Vol.3

1.北林 久仁子さん (須磨保育所長)

…保育現場で約30年保育士として働き、現在は運営の立場でもおられる。

2.田淵 美香子さん(神戸市役所こども家庭局子育て支援部振興課運営係)

…頌栄短期大学で保育を学んだ後、関西学院大学の人間福祉学部に編入学。卒業後、5年間、神戸市の保育士として働いた後、現在は、保育士の病気や怪我などで欠員が出た場合に代わりに出勤する代替保育士として、日々の保育に励んでおられる。

  1. 西濃 亮平さん(神戸市役所子ども家庭局子育て支援部事業課指導係)

…関西学院大学法学部卒業後、神戸市役所高齢福祉部で3年働き、現在は、子ども家庭局子育て支援部事業課指導係で、市の保育所の指導などを行っている。現在は0歳児の子どもを持つ父親,イクメンとして日々の子育てにも奮闘しておられる。

◎北林 久仁子さん (須磨保育所長)

「私の出会った子どもたち~親子関係の変化から考える、これからの保育所の役割~」

〇障がい児キャンプへの参加…大学4年間の春・夏預かる,学生のみで動かす。

〇保育現場で30年働く…30年の間に、保育所と保護者の折り合いが付きやすくなった等の、時代や考え方,保育は変わっていったが、育児負担感は変わらないと感じる。その育児支援が広がるものの、虐待が無くならなかったり、保護者が育児の鬱から病気になったり、「苦しい」と感じていたりする。

〇育児…現代は「親がメインで育てていかないといけない」と思われている。しかし、子どもは「ゆっくり」や「繰り返し」が好きであったりするため、おじいちゃん・おばあちゃんの斜め上から照らす存在が必要である。

〇親子関係…仲の良い,または反発し続ける親子関係など様々あるが、それぞれで良いと考える。

〇保育所,保育士の役割…

・虐待の連鎖を断ち切るには、子育ての時にどれだけ周囲の人に助けてもらえるかが重要。助けてほしい時に柔軟に助けることで保護者も育っていける。

・ある子どもが竹馬を練習しているときに、普段友達と関わることの少ない子どもがその子に声を掛け、見本を見せると、乗れるようになった例から、保育士は時に子どもたち同士の関係を見守ったり、調整したりすることが必要。

〇保育の限界…母子家庭で大腸がんの母親で、子どもは一時保護になった。母親の体調が悪化した際は、保育士がその子どもと一緒に登園・降園をしたが、母親が亡くなってしまった際に「何もできなかった」と感じた。

〇保育とは…子どもを楽しく育てる!保育を通して、様々な社会,命に関わることができる!今後は、引き継いでいってくれる人ができるようにすることが目標。

 

◎田淵 美香子さん(神戸市役所こども家庭局子育て支援部振興課運営係)

「20代保育士のリアル~泣き笑い保育日誌~」

〇頌栄短期大学で保育を学んだ後、関西学院大学の人間福祉学部に編入学をし、卒業後5年間、神戸市の保育士として働いた後、現在は代替保育士である。

〇1年目は2歳児,2年目は1歳児の、乳児クラスをベテランの先生と2年連続で持つ。3年目は3歳児で初の一人担任で20人クラスを受け持つ。子どもは可愛いが大変さを感じる。4年目はフリーで、行事計画などを考えたり、日によって様々なクラスに入ったりする。5年目は、3年目で受け持ったクラスをもう一度担当することになる。「先生が担任で良かった」という言葉を貰った。

〇保育をして感じること…子どもが怪我をしたとき,特に子ども同士の怪我は落ち込む。子どもも保育での活動や遊びで楽しんでいるときが、保育士として自身も一番楽しいと感じる。

 

◎西濃 亮平さん(神戸市役所子ども家庭局子育て支援部事業課指導係)

「ただ今子育て真っ最中~仕事・子育て・保育園~」

〇関西学院大学 法学部を出た後、神戸市役所の高齢福祉部で3年働き、現在の子ども家庭局子育て支援部事業課指導係へ。同じ福祉分野だが大変さを感じながら日々仕事をしている。

〇現在の仕事内容は、民間の保育園やこども園の指導を、基準や助言も含めて行う。また、保育園からこども園になる時の作業,手続きを行うことである。

〇保育園には保護者からのクレームがたくさん来る。例えば、登園時の半袖・半ズボンは虐待ではないのか、などである。指導では、保育園と保護者の関係の調整も行う。

〇公の立場から保育に関わる…神戸市の待機児童対策緊急プロジェクトでは、「5つのいいね!(保育士の給料に一時金の支給をプラス,保育士への家賃補助,保育料1年無料,パートにも一時金支給,保育士資格取得時の学習費用補助の5つで、保育士,子ども,その家族に対しての優しい取り組み)」で、保育人材と保育定員確保を行う。また、病児が保育を受けられる施設をつくったりする医療的ケア児事業にも力を入れている。これらは、民間園ではできない神戸市ならではの取り組みで、神戸市民に幸せになってもらおう、というものである。

 

Q.男性の育児休暇取得率はどうなっているのか?取りやすい状況か?

A.神戸市役所全体で現在は1.3%と低く、5.0%にまで上げようとしている。働いている課の仕事内容や人数などの環境により、取りやすい,取りにくいの差がある。

 

Q.保育の無償化についてはどう考えるか?

A.待機児童の掘り起こしになるのではないか。また、子どもを保育所に預けて「女性が働かなくてはならない」という強迫観念,考え方に変わってしまうのではないか。

今回のセッションは、神戸市の保育園長,保育士,保育行政の、様々な立場から保育に関わる3名の専門家から貴重な話があった。参加者の立場からは、保育士として働く,あるいは公務員として働きながら育児もするなどといった将来の働き方のイメージがよりはっきりとしたと思う。保育士は、保育の現場で目の前の子どもと向き合うだけでなく、その子どもの保護者,家族にも柔軟な対応や支援をしていることに気づかされ、これが保育、福祉なのだなと感じた。